エデン編
 

 

La Dolce Vita

【エデン編 予告】

 

 

昔、ふたりの錬金術士がいました。
ふたりはとても優秀で、お互いをライバルとして、日々錬金術の研究を続けていました。
あるとき、そのうちの一人が一振りの剣を創り出しました。
火の色を模すその剣を、その者は●●●と名づけました。
次いでもう一人も、一振りの剣を創り出しました。
その剣は、火の色を模すもう一人の剣と寸分たがわず、けれどもその色だけは、深い海を模していました。
あまりにその二振りの剣が似ていたために、お互いがお互いの剣を模倣した盗作の剣であると言い、ふたりの間に諍いが起こりました。
そして最後には、どちらの剣が優っているのか、比べようということになりました。
剣の一振りは、山を砕き

剣の二振りは、海を割りました。

優劣のつかないまま、遂には天に向かって剣を振り上げました。

しかしその驕りに、無のマナ・リリスは悲しみ、その涙が二振りの剣に注がれた時、剣は錬金術士たちの手から消え去ってしまいました。

                             エデン枢機院 所蔵 『火の剣海の剣』より抜粋
                                        (一部染みにより解読不可能)
 

 

 

 


 

―――― 少しだけ以前と違う日常。

       それでも、それはとても心地のよいもので

 

 

兄と共に川に入った少女が、彼女の名前を呼ぶ。
傍らの少年も、声を張り上げて幼馴染を誘う。

「お姉ちゃん」

「ヴィーゼも来いよ。冷たくて気持ちいいからさ」

 

 


―――― 一人増えた家族と共に、今までどおり、暮らしていた。

 

言い出しにくそうに少年は、妙に真剣な表情を浮かべて尋ね返す。

「グレイはその相手のこと、知ってるのか?」

「ああ。よく知っているぞ」

「…それって、俺も知ってるやつか?」
 

 

 

―――― …小さな波紋はあるけれど。
 

 

 

背中から腕をまわされ、体が少年の腕の中へ抱きこまれる。

「フェルト?」

「…ごめん、ヴィーゼ」

肩に額を擦り付けるようにして囁く声に、少女はゆっくりと力を抜く。
 

 

 

―――― それが、大きな波となるのは、まだ




 

 

 


「いまだけ、だから」


 

―――― 先の話

 

 

 

 La Dolce Vita エデン編

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