ひよこレンジ 2

 

 

夜のベッド

日の暮れた帰り道

暗い森、洞窟

暗い部屋、暗い廊下

知らない場所

知らない人

でも

そのぬくもりがあったから

 

 

きょろきょろとあたりを見回しながら

足元がおぼつかない

危なっかしい足取りで

ぽくぽくぽく、とフェルトは歩いていく

そして目の前に現れた緑の布をまとった二本の足に気づくと

頭上を見上げるようにして仰いだ。

そこには、彼のよく知る金色の髪の男性の顔がある。

「いんちょー、ヴィーは?」

「ヴィーゼを探しているんですか?フェルト?」

その言葉にフェルトはこくんと頷く。

「たからものみつけたからヴィーにおしえてあげるの」

「それはすごいですね」

「みんなにはひみつだよ?ヴィーにだけ」

ほこらしげに胸を張り、フェルトはにこりと微笑む。

「みんなというと…私もですか?」

「うん!」

力いっぱい頷いたフェルトに、男性は笑いを堪えて

最初の質問に答える。

「ヴィーゼは、中庭にいましたよ」

フェルトの顔にぱっと喜びの表情が浮かぶ

「ありがと、いんちょー」

ぱたぱたと走り出したフェルトにむかって男性から声がかけられたが

はーいと元気な声が返ってきただけで

ぱたぱたという音はずっと

中庭まで、続いていた。

 

中庭には、ヒトの姿はない

けれどフェルトは迷うことなく

奥へと進んでいく

「ヴィー」

中庭の低木の茂み

体を低くしてごそごそと中に入っていくと

ぽっかりと空間が広がっている

彼と彼女のための

『ひみつきち』

マナたちにだって教えてないのだ

 

茂みの隙間から陽射しが差し込んで

その中は暖かく

ふかふかした下草の上に

ヴィーゼがころんとまるくなっていた

四つんばいになったまま

フェルトはきょとんとその寝顔を見つめる

 

ぐっすり眠っている様子のヴィーゼを起こしてしまうのは

なんだかよくない事のように感じてしまう

 

「……」

仕方ないので、フェルトは体を低くしたまま

ヴィーゼの傍に近寄ると

ころんと

横になった

 

ヴィーゼの髪が頬に触れるほど近づいて

ぴったりと寄り添い、目を閉じる

 

ヴィーゼも夢の中、寄り添うぬくもりに気づいたように

ほんの少し体を動かしてフェルトに近づいた

 

 

 

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